「命を大切にする生き方」
虫の世界では、2割程度しかよく働かないそうです。そして、まったく働かない虫が2割、ほどほどに働く虫が6割という比率になるといいます。これにはちゃんとした理由があります。
よく働く虫はやがて疲労して休みはじめてしまうのですが、すると、ほどほどに働いていた虫のなかから、全体の2割にあたる虫が働きはじめます。それを繰り返すと、やがて、まったく働かなかった虫までもが働きはじめます。
つまり、労働力を温存しているのです。
植物も同じです。まず、蒔かれた種の2割程度が芽吹き、2割はまったく芽吹かず、残りはほどほどに芽吹きます。それは環境の劇的変化による絶滅から逃れるためです。一斉にすべてが芽吹いた場合、万が一、洪水にあうと全滅してしまいます。
育ってからも同じです。芽吹いてもすべてが成長することはなく、大きさはバラバラになります。2割は大きくて、2割は小さい。残りの6割はほどほど。これは動物による食害から全滅しないための工夫です。小さいものは食べられないからです。
ところが、最近の交配種から作られる作物は、この種(しゅ)の保存の法則を完全に失ってしまったものがあります。同じ時期に芽吹き、発芽率も高く、同じ大きさ、同じ形に成長し、同じ時期に収穫可能になるのです。
人にとっては都合がいいのですが、作物という植物にとっては、全滅の危機に遭遇するという迷惑千万な品種改良なのです。
野菜の大きさには意味があるわけであり、不揃いだからこそ、生きた生命体であることの証明です。だからこそ、野菜にとって不揃いであることは、決して不利なことではないと僕は思います。
さて、人はどうかと言えは、もちろん同じです。生き物ですから。
必死になって働いてきた者ほど、心が無理な労働から逃れようとする。そして心の病といわれながら、一線から退いていく。これは至極当たり前のことです。人間にも種の保存の法則が働いているのです。
疲れたなら休めばいいのです。今まで第一線で働いて来たのだから、退いても、あとは6割の中から働く者が出てきます。最終的には今サボっている者が過酷な仕事を引き受けることになるかもしれません。
だから、疲れたならば自分のために休憩すればいいと思います。社会は次の労働力によって引き続き回っていきます。
自分は次のステージへと進めばいいだけです。同じところで頑張っていても、回し車のなかで走るハムスターと同じになるだけですからね。
それこそが命を大切にする生き方だと、僕は思います。
※著書「野菜は小さい方を選びなさい」より抜粋
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